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東京大学大学院入試合格法!数学過去問やtoefl難易度攻略法

2023年11月26日

志田龍太郎

東京大学修士→30代セミFIRE元数学教諭(麻布高など指導)/アクチュアリー数学と統計検定1級(2024年に再挑戦)/数検1級→高3・漢検1級→教諭時代に合格/ブログ+SNS運営/現在逆手懸垂の訓練中/AmazonAssociates連携

本記事は過去に執筆したものを最新の情報に加えて大幅改訂したものになります。

この記事では次のことを知ることができます。目次をご参照ください。

東京大学大学院(東大院)の入学式や学費や卒業式について(就職もいいよ!)

2010年4月に僕は東京大学の大学院生になりました。入学式は4月12日に行われ「親孝行がやっとできた」という気持ちでした。

入学式は武道館で行われました。当日は雨が降っておりました。
入学式は研究で忙しい学生は参加しない例もありました。

その時点で東大で研究するって、とても難しいことなのだということを心のどこかで分かっていたかも知れません。

学費はどれくらいですか?

東京大学のHPによると2023年現在は次のような額になっています。

入学料→282000円
授業料→年額535800円

東大など国公立の大学は私立大学に比べて学費が安いので、
国公立で勉強することは金銭の節約にもなり親孝行にもつながります。

就職面ではどうでしたか?

専攻ごとに推薦枠などがあり優遇されていることを肌で感じました。

専攻の人数より遥かに多い求人数でした!

そして基本的にはその年に合格した3000人くらいの学生が一同に会するのは卒業式になります。
卒業式は研究科ごとに時間帯が異なっていました。

卒業式は2回あり、まずは午前中に安田講堂で修了生が一度に学位授与式をします。
その後の午後に専攻ごとに修了生一人一人に学位が授与されます。

僕は複雑理工学専攻でしたので、本郷から柏へと移動して25〜30名程度が学位を授与されました。

東大院試の難易度!東大新領域は倍率的に穴場で入りやすいのか?!

東大院試は(条件つきで)思ったより難しくはないです!

東京大学の大学院の入試と東京大学の学部の入試の相違点をまとめます。
この考えが難易度を知るための鍵となります。

東京大学の学部入試→多くの科目で競い合う→全国の優秀な高校3年生の戦い
東京大学の大学院試→英語と得意科目で競う→全国の優秀な大学4年生の戦い
東大学部入試も東大院試も合格者はともに約3000名で一定です。

どこが簡単なの?
この説明では簡単だと感じないけど…

偏差値の概念です

東大学部入試は偏差値の概念がある。
東大院試は偏差値の概念がない。

偏差値があるということはメジャーな競争のためです。
院試はそこまで世代間競争がないため(現段階では
どこの大学院も入試時点での難易度の比較ができる指標がないのです。

また、東大院試が東大学部入試よりもやりやすいもう1つの根拠があります。

東大学部入試は共通テストと2次試験で見えない高倍率が存在する。
東大院試は2次試験だけ(イメージです)なのでふるいにかけられることがない。
そして高校時代のように担任などがいないので自分のペースで勉強ができることが大きい。

加えて東大院試は東大の期末テストから出ることが多いので、
内部生が圧倒的に有利になります。
そのため内部生から見ると東大の院試に合格することは超難関とは言えないです。

東京大学のHPから抜粋させていただいた、
令和5年度の大学院入試の結果をご覧ください。

東京大学のHPより抜粋(令和5年度の大学院入試結果)

内部生の志願者数が2192人に対して、入学者が1673人で倍率は1.3倍です。

倍率は低いですが、それでも内部生の約500名が入学していないという事実は見逃せません。

データで見るときちんと勉強しないと、普通に落ちるんですね。

次に外部生の倍率を見てみましょう。

外部生の志願者数は4742人に対して、入学者が1568人で倍率は3.0倍です。

これは本気で対策しないと受かるのは無理です。
一昔前までは研究科や専攻によっては簡単なところがあったという話も聞きます。

例えば新領域という外部生が割と多い研究科の場合は、
2000年代前半あたりは大学院重点化のため低倍率であったものの、
2000年代後半あたりから倍率が増え始め、
現在に近づくにつれて倍率が沈静化してきた感じです。

2023年度入試では東京大学新領域創成科学研究科→254/660で倍率2.59倍でした。

是非、他の研究科の倍率も比較してみてください!

僕が受かった年は7倍とかだった覚えがあります。
高倍率だと高得点争いになるため注意が必要です。

外部から東大の大学院入試を目指す場合、
高校と違って誰にも縛られずに勉強ができる環境が一般的なので、東大の学部入試と比べれば精神的にやりやすいのは確かです。
偏差値の指標がないとはいえ東大に挑む訳なので勉強する覚悟を決めることが大事です。

社会には外部の大学から東大などの偏差値が上だと言われている大学の院に進学することを学歴ロンダリングと言って揶揄する方がいます。
東大の中では誰が外部で誰が内部など議論している学生を見たことがありませんでした。

勉強は自分のためにするので他者は基本的には関係ないです。

学力や学生や研究のレベルが高い場所でステップアップしたいという欲求は素晴らしいこと。
人生の1つのステージとして大学院入試も是非とも活用して前向きにとらえていきましょう!

東大院の入試は数学の過去問が合否を握る(説明会日程も調べて参加しよう!)

合格発表掲示板の様子(僕の番号は140041でした)

東京大学の大学院入試で合格をするためには情報がとても大事です。

東大の学部入試が情報がたくさんあることと比べると、東大の大学院入試は情報が不足している点が難点です。

院試の情報?情報を得るにはどうすればいいですか?

説明会への参加と過去問をゲットすることが大切です!

東大は大学院入試のために説明会を行っています。
僕が受けた2009年の東大院試ではその年の5月に本郷キャンパス(正確には浅野キャンパス)にて開かれました。

東大での研究の様子
対策法(読んでおくべき本など)
面接で聞かれることなど(聞き出せるかもポイントがある)

フリータイムの時間にこの3つを聞き出すことを意識すればOKです。
説明会では全体説明→個人での質問コーナー(先生と先輩がいる)がありました。

僕は次のような質問をしました。

東大出身ですか?
合格ラインってどれくらいですか?
どれくらい出来ました?
研究計画書ってどう書きました?
面接ではどのようなことを聞かれましたか?
研究でどのような点で大変だと思いますか?

当時のM1の先輩からいただいた答えはこちらです。

大体は東大出身と思った方がいいです(この人は京都大学からの合格者)
7割取れれば確実。6割だと倍率が高い時に危ない。
6割。多分最低点で受かりました。
研究室が行えそうなことを軸に、先行研究から応用できることを書くべき
なぜ東大を受けたのか?先行研究を具体化した物は何?合格できると思う?
全部だよ。(これは修士1年になって痛いほど痛感しました)

大学院入試では必ず面接があり、その面接も合否を大きく左右します。そのため説明会への参加は必須となります。

過去問をゲットしましょう!

東大院試でも試験は試験です。過去問をベースに問題が作られます。
過去問は本当に大切で、過去問をいかに古い年度まで集められるかが合否を分けます。

過去問の入手ルートを教えてください!

主に過去問の入手法は4つあります。

希望する専攻のHPからダウンロードする(答えはないので自分で解く!笑)
本郷キャンパスの陸橋付近にある建物かメトロ食堂付近にある過去問販売所で購入
書籍を購入する←昔と違って今はこれが一番効率が良いかも!
Twitterなどで過去問を解いているアカウントを探して情報を得る←NEW!!

東大は研究科や専攻によって難易度の傾向が全く違います。
特定の分野が必ず出たりといった傾向があります。
過去問をいち早くゲットして傾向を分析しましょう。

過去問が載っている書籍はどれが良いでしょうか?

東京大学大学院(東大院試)の英語対策(toeicではなくtoefl)

東大はTOEICではなくTOEFLです。

単語と文法を毎日コツコツと覚えて、リーディング・リスニングなどの分野を固めつつ、模試で実践力をつける順番で受かりました。

英単語は上で紹介したTOEFL3800だけをやります。
ただし英単語が苦手な人はこの前にDUOをやっておきましょう。3800本の中の未知語がグッと減るはずです。

DUO以外で英単語を超短期間にマスター(6000語までです)できる書籍を僕は知りません。

そして英文法です。
英文法は時間がかかりますがTOEFLの場合、この理解がかなり必須となります。

東大院試はTOEFLのIBTかITPかを選べることがある。
より簡単なITPを選ぶことがコツです。

ITPでは文法問題が出てくれるので次に紹介する2冊の本で僕は万全の状態で乗り切りました。

文法はこれで一気に細かいところまで頭に入れましょう。
本書はインプットの本です。

東大の足切りを突破するためという意味です。
噂では東大院試は英語で足切りをしている説があります。

英文法のアウトプットはこちらの本だけを使いました。
本当にTOEFLのためだけに作られた本というイメージの素晴らしい本でした。

リスニングを含めたリーディングの問題も模試を通して実践力をつけました。

僕が当時買った本が色々改訂されててこちらの本になっていました!
ロバートヒルキ氏はTOEICのテクニックの第一人者で、TOEFLも監修されているのかと思いました。

東京大学の院試では数学が合否を分ける

僕が受けた時はラプラス変換まで出版されていました。定理の導出が特に丁寧で今でも保存しています!

東京大学大学院は総合的に見てやはり大学院の中で最難関だと思います。
数学検定1級は大学院入試の基礎の基礎という認識でまずは挑んでみるべきです!

東大院試の数学では一般的に解析学がメインになります。
純粋数学系などは別です!

微分積分
線型代数
確率統計
微分方程式
複素関数論
ベクトル解析
フーリエ解析
ラプラス変換
変微分方程式

下に行くほど難易度が上がります。

数学検定1級は高校数学に加えて上のリストの序盤のみが出ます。東大院試の数学対策の一歩としてまずは合格してください。

合格ができたらいよいよ抽象的な大学院試の数学へと進みます。

院試数学を俯瞰できる本はないですか?

あります!超有名な本がありこちらです!

僕が知る限り本書は1980年くらいからあったはず。

本書は東大院試の問題というよりも、
全国の大学院入試の数学の典型問題を集めた参考書です。

受験数学でいう1対1対応の演習みたいな感じです。

東大院対策専用の本はないのですか?

黄色本と呼ばれるほぼ東大専用の本があります。

ここまで完璧にできれば東大院試数学はもらった!って感じです。
不安な方はより最近の問題(2010年〜)を扱った理論寄りの参考書兼問題集がありますので紹介します。

こちらは1冊にまとまっておりますが、
2つ前の1冊にまとまっている本より難易度が格段に高いです。

東京大学大学院合格体験記

2009年の夏:基盤棟最上階にて決戦東大院

以下、当時の記事のままの体験記ではなく要点を簡潔にまとめます。

本番で驚いたことは何かありましたか?

交通機関には余裕を持つことです

普通にバスが来なくてタクシーを使い、途中から金欠に気づいて降りて東大まで走りました。
到着した時は、すでにリスニングの開始直前でした。

1時間目:英語(toefl)

ここで失点を防ぐんだ!
リスニングでは今の英検1級と格闘している時よりも音がクリアに聞こえてきました。

今でもあの時は神様が力をくれたように感じます。

文法の時間がきました。全部解けました。

ラスボスの長文読解では、8割は自信を持って回答しました。

この時点で周りの内部生(と思われる)が今回難しいなと言っていたので、

よし、今のところ、作戦は成功しているぞ!と自分に言い聞かせました。

2時間目:専門科目

僕の受験した専攻では数学・物理・化学が試験科目でしたが、実際はその20題くらいの大問から3題を選択して回答せよという形式のため、

3問とも数学を選択しました

まずびっくりしたのが、試験監督がめっちゃ分厚い東大のマークが書かれた黄色いルーズリーフの冊子を配ってきて、

「では、試験を開始します。この白紙の冊子に自由に回答して下さい。

と言っていたことです笑
しかも時間は3時間くらいだった気がします。

はっきり言って時間は全然足りない試験だと以前から分かっていて、速く正確に解くために死ぬ気で勉強して準備していたので、
どのような問題が来ても時間さえあれば正解率100%を出せるという自信がありました。

第1問:微分方程式

???なんだこれ!正直手も足も出なかったので、10秒くらい戦慄しました。これは捨てよう。

第2問:線型代数

これは数検1級で解いたことのある類題+川久保の線型代数の定理の証明そのまま+黄色本の問題の数値が変わったもの

だったので30分もかからずに完答をしました。

ここでまずは1完!やったね!
線型代数は川久保先生の本だけに集中しました。

第3問:ラプラス変換

偏微分方程式の第3問は今年はラプラス変換でした。これはとても小問の数が多かったです。おそらく歴代最多かも?
しかも、最後の最後のラプラス逆変換の時の場合分けの数が多すぎて最後の1つの場合分けにかける時間が30分はかかることに気づきました。

ここで僕は選択を迫られました。

ここを突破するか、得点率にして95%くらいにして逃げるか?

僕は逃げることを選択しました。1完逃す!

経験上、応用数学に弱いと東大院試に受かるのは難しいと思います。
ラプラス変換は次の本を学習しました。

第4問:確率

それで、最後はまさかの確率でした笑
しかし、場合分けが面倒くさいの何の笑

こういう所が東大らしいのですが、受ける側は焦りしかありません。

なにせ時間が短すぎるのでね。

ここも最後の最後の場合分けの1つを取るか捨てるかを選択に迫られましたが、僕はここの最後を捨てて全体の見直しに残りの15分を使いました。恐らくこの第4問の得点率は95%だと思います。

試験全体では、290/300つまり、得点率97%だったと予想していました。
なぜなら試験の出来を面接で聞かれると知っていたからです。これも先輩情報です。

2日目:面接

東大院試では筆記試験から1日程度経過してから面接というパターンが多いようです。

1日目のように緊張はしなかったですね。

バス停で外国人が困っていたので、目的地まで誘導してあげました。

集合時間になり、一人のイケメン先生が部屋に入ってきました。実はその部屋で卒業式も行われました。
イケメン「では、これから受験番号140041番の方は私についてきて下さい。」

僕の出番が来た。これが最後の戦いだ!

さて、面接では次のようなことを聞かれました。

なぜ東大を志望したのかね。
なぜうちの研究科を志望したのかね。
なぜこの専攻を志望したのかね。
君はどこの研究室を志望したのかね。5つ言ってみてよ。
なぜ俺の研究室が第一志望出ないのかね?
試験は何点くらい取れていると思うのかね?
どのような研究がしたいのかね。
最後に何か言い残すことはあるかね?

では、覚えている範囲で順に答えます。

やりたいことが東大にしかなかった。東大は日本で一番だから。(我ながら正直)そのような環境で一生懸命、研究したい。
色々な研究が扱われていてそのユニークさに惹かれた。周りの方も文理を超えて優秀な方が多いので会話しても楽しそう。
僕は得意な数学力を活かして地震というカオスを研究したい
(5つ?!)無事に切り抜けました笑
(予定外の質問その1)丁重にお断りしました
英語は得点率9割に届かない程度で数学は得点率10割に届かない程度ですね。(皆さん笑顔で、「そうですねー。」とのこと。)
この記事のどっかに書いてある志望動機を言いました!
(予定外の質問その2)東大院を受験できる環境に感謝します。本日は先生方のお忙しい中、面接をしてくださって、ありがとうございます。

得点開示はしていませんでしたが、筆記試験の結果はかなり上位だったようです。

合格発表と東大総長からの言葉

学位記授与式の日に本郷キャンパス三四郎池にて。筋トレと無縁な頃なので迫力が足りません。

東大院試の合格発表と修士論文の審査に合格したという2つの合格発表を経験し、
僕はかなり勉強を重ねることになりましたが、無事に東大修士となることができました。

卒業式の時に東大の総長がこの言葉をおっしゃっていました。
人は学ぶ喜びを持って産まれてきた!君たちは何ができるのかい?

この言葉が東京大学大学院入試を考えている方の1つの気づきとなってくだされば嬉しい限りです。

筆記試験直前の気持ち→人生を変えるんだ!この日に僕は自分に打ち勝つんだ
面接試験直前の気持ち→これが最後の戦いだ!
合格発表直後の気持ち→やっと親孝行できた

僕は東大から合格をもらえた瞬間よりも、東大と戦っている時間が幸せだったと気づきました。

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志田龍太郎

東京大学修士→30代セミFIRE元数学教諭(麻布高など指導)/アクチュアリー数学と統計検定1級(2024年に再挑戦)/数検1級→高3・漢検1級→教諭時代に合格/ブログ+SNS運営/現在逆手懸垂の訓練中/AmazonAssociates連携

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